夏風邪をこじらせて長いこと臥せっていました。
その間、寝たきりで一切フィールドには出られず…。ようやく動けるようになったのでリハビリとして近所の散歩と小動物観察を少しずつ始めてます。本当はやんばるにでも行きたいんですが。
僕の住んでいる町は沖縄本島でも自然や農地の少ない場所で、あまり生物が豊富とは言えません。超普通種のアフリカマイマイやオガサワラゴキブリを見つけるのにも一苦労するほど。
それでも飛び石のようにわずかに残った緑を辿っていくと小さな生き物たちに出会えます。
そして毎回姿を見せてくれるのはコシビロダンゴムシやワラジムシと言った等脚目。石灰岩やコンクリートの上をたくさん歩いています。
▲コシビロダンゴムシの一種。沖縄には内地で多く見られるオカダンゴムシが少ない代わりにコシビロが非常に多い。
そしてその中にほんの少数混じっているこれ。
これまたかわいいダンゴムシ…と思ったでしょう?
僕も学生時代に初めて見たときはそう思いました。沖縄のダンゴムシは柄が洒落てんなぁ~。そしてテカテカしてんなぁ~、と。
でもこれホントはヤスデです。『タマヤスデ』という名で、やはりダンゴムシのように丸くなることができます。よくよく見るとたしかにダンゴムシとは異なる特徴がいくつもあります。
※タマヤスデの仲間は沖縄ほどわんさかではないものの日本本土にも普通にいます
ダンゴムシだとお尻のあたりがなんというかグソクムシっぽさというか海産甲殻類感がビンビン出てるんですが、タマヤスデはトゥルンとしてて「あ、こいつ進化の過程で水中生活経験なかったんだな」と察せます。
裏返すともう少し違いが分かりやすいかな?脚の数がダンゴムシに比べてすごく多い。
たとえばオカダンゴムシは成虫で7対(14本)の脚がありますが、このタマヤスデはその倍にあたる15対(30本)が生えています。さすが漢字で『千足』と書くヤスデの仲間なだけありますね。
丸まった姿を比較するとこんな感じ。やはりよく似ていますがバランスがちょっと違う。
丸まった際に前胸部が目立つのがタマヤスデの特徴です。
▲コシビロダンゴムシ
▲タマヤスデ
ちなみにこちらは『まるむしトリオ』の一角ヒメマルゴキブリの丸まり姿。まったく違う分類群の陸生節足動物が揃ってこうした防御形態を獲得したというのは、それだけこのスタイルが理にかなっているのでしょうね。
▲ヒメマルゴキブリ
各々、祖先の形態は全然違うわけですがこのカタチに収束するまでにどんな取捨選択があったの。身体の細部を観察しながらそんなことを考えてみるのも楽しいものです。