二月も終わりですね。今ちょうど船上ロケに備えて東京にいるんですが、雨が降ったこともあってなかなか寒い。沖縄に住んでいるうちに少しずつ寒さに弱くなってきているかも?
そういえばちょうど去年の今頃も東京湾に浮かんでいました。
その時の狙いは深海ザメだったんですが、船長から「道中の工業地帯から注ぐ温排水の吐き出し口にメッキ(ロウニンアジやギンガメアジなどの幼魚)が溜まっているから餌用にちょっと釣って行こう」との提案が。
▲一般的にイメージされるメッキサイズのロウニンアジ
メッキはいわゆる『死滅回遊魚(暖かい潮流に乗って北上してくるが、冬季の水温低下に耐えられず死んでしまう魚たち)』で、本州では普通は秋に多数出現して水温の下がり切る2月にはほぼ絶命して姿を消してしまうもの。
この時期にメッキが生き残っているというだけでも大したものなのですが、いざルアーを投げてみるとさらなる衝撃が。
何気なく数投したところで大きなアタリ。そしてまったく想定していなかった猛ダッシュ。
とてもメッキとは思えない勢いに当初は巨大なボラの尾に針が引っかかったのだろうと考えていましたが、船の真下へ引き寄せたあたりで妙な感触が。ものすごく水の抵抗が大きい…。
この感じは水中で魚体を横たえて泳ぐロウニンアジそのもの…。
ネットに収まった魚体はもはやメッキとは呼べない代物。
▲東京湾GT。明らかに当歳魚ではない。本来は死滅回遊魚だが、東京湾では温排水のために水温の高い工業地帯で越冬しているのだろう。
なんだこれ。60cmオーバーの……巨大メッキ?小GT?
どうやら温排水の流れる海域に住み着くことで、本来は最初の冬に死滅するところを二年、三年と生き延びてきた個体らしい。
人間の生活が生み出したイレギュラーな存在であるが、たくましい。
もしかするともっともっと大きな15kg、20kgに達する個体も東京湾のどこかにひっそり暮らしているのかもしれない。
たぶん、そういう個体はさすがにこうして釣り上げられる機会はほぼないだろうが。絶対数が少ないのと、東京湾で用いられる釣具が強度面で耐えられないという理由で。
↓さすがにこんなん釣れる道具立てでメッキ狙う人はいないもんね。
▲沖縄の河川で(!)釣れたロウニンアジ成魚。本当に様々な場所に現れてサプライズを提供してくれる魚です。
ちなみに、この個体は餌にはせず同船者が持ち帰りました。
「東京湾で越冬したロウニンアジは異様に脂が乗っていて美味いから」
だそうです。
僕もぜひ試したかったんですが、クーラーボックスはサメでいっぱいいっぱい。
あるかはわからないけれど、またの機会の楽しみとしておきます。
▲本来の狙いである深海ザメ(アイザメの仲間)も無事にゲット。沿岸でも深海でもかっこいい魚に出会えた良い1日でした。
▲参考までにルアーはたしかこれ。ビーフリーズってやつ。海でも川でも海外でもどこに持ってってもよく釣れるよね。
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これで2、3年なら下のバカでかいのは何年もの?と思って検索してみたら、飼育下では寿命は20年を越えるとありました。案外おじいちゃん侍なのかもですね。