固着特化!ジンガサウニが超かっこいい(そして味も悪くはないけど…)

来沖していた学部生時代の友人であり海洋生物研究者のF博士が「ジンガサウニを見に行かないか」と声をかけてくれた。
寡聞にしてこのウニの存在を知らなかったのだけれど、ウェブで画像検索して即座に「見たい!」と回答。
こんなかっこいいウニがいるのかと。そしてこんなかっこいい生物を、ちょくちょく散策していた沖縄の海で見落としていたのかと。

やってきたのは沖縄本島某所のゴロタ浜。波打ち際のなめらかな岩肌、ちょうどヒザラガイやマツバガイが張り付いていそうな環境にそのウニはいるという。


▲こんな環境にいました。でもかなり局所的。

足元を水に濡らしながら探索すること10分ほど。F博士の「いたー!!」というシャウトに興奮して駆け出した瞬間、苔の生えた岩で足を滑らせしたたかに尻もちをつく。痛みで四つん這いになりながら駆け寄ると、おおー!いるいる!


▲UFOのような、クラゲのような、おはぎのような…?

なんだろう?UFO?イソギンチャク?クラゲ?ブツブツしたドーム状の物体が岩肌に張り付いている…というか吸い付いている。おお、不思議な姿。だが、真上から見るとたしかにウニやヒトデの特徴である五放射相称が確認できる。

しかし収斂進化というのは見事なもの。巻貝(マツバガイ)も多板綱(ヒザラガイ)もウニも、波の打ち寄せる滑面で藻類を食む生活様式を選んだ生物はこのようなシルエットになるのだ。
そんな理屈は今まで散々本で読んで、講義で聞いて、実例もフィールドで見まくってきたけれど、やっぱり「すげえなあ」。惚れ惚れするほど理にかなっている。固着という生き方に特化したウニ、ジンガサウニ。気に入った。

特殊な環境に暮らす生物にこそ機能美というものは宿るのだ。

▲捕まえるにはほんのちょっとコツがいるようだ。

捕まえてみようと指をかけると、「ギュ!!」と岩へより密に張り付く感触が伝わってきた。案の定、人のピンチ力では引き剥がすのが困難なほど強く固着している。
ならばとしばらく素知らぬふりして放置。油断(?)して筋肉が緩んだであろうところを思い切り横方向へ押してスライドさせると「カション」と音を立ててはがれた。この手の生物はたいていこうした横からかけられる力に弱い。
▲岩からはがすと行き場を失った(?)辺縁部の棘が反るように蠢く。こうなると花のようにも見える。

手に取ってみるとなおさら奇妙でイカしたウニだ。
ドーム状の身体の頂点から辺縁にかけて徐々に棘が細長く、扁平になっているあたりは数あるウニの中でも独特である。


▲分類学的にはパイプウニに近縁らしい。棘の形状をよく見るとちょっと納得。


▲裏返すとウニ感がより強くなる。ムラサキウニなどと同じようにやはり藻類を食んでいるらしい。


▲裏返して海水に沈めると、起き上がろうと多数の管足を伸ばす。何もない平らで静かな場所に置くと起き上がるのにかなり苦戦する(不可能?)ようだが、実際にはそうした環境に転げ落ちることはほぼあり得ないのだろう。

そしてウニというからにはやはり味見をしてみたいところ。
鹿児島や伊豆方面の一部島嶼では食べる文化があるとかないとか噂に聞いたが、少なくとも沖縄では水産資源として認知されていないはず。不味いのだろうか?

▲割って食べてみよう。


▲わあ、美味しそうな色。だけど可食部のサイズがね…。いくらなんでもね…。


▲ちゃんとウニらしい味がしてたしかに美味い!美味いよ?でもさ…。この量じゃ食べる意味が無いよね…。

結果から言うと、「味は悪くないがわざわざ食べるものではない」といったところ。
たしかにシラヒゲウニ以上、ムラサキウニにも負けない旨味の濃さである。
が、いくらなんでも一個体から小指の先ほどの可食部しか得られないのではね…。
美味いとは言っても舌に神経を集中させまくって一瞬味が分かる程度。
もちろん、採集にかかるエネルギーコストをまったく賄えないので食料としては失格もいいところである。
なんつーか、惜しいなあという印象。

しかし、この手の移動能力に乏しい生物は意外と成長(成熟)が遅かったりするので乱獲の憂き目にあわないであろうという意味ではこの程度の低ポテンシャルの方がいいのかもしれない。

個人的にはジンガサウニ、見ていじって楽しむ生物と認識した次第であります。また今度、一眼レフとマリンブーツを持って見に来ようと思う。

2 件のコメント

  • めっちゃカッコイイ生き物ですね!!「ウルトラQ」に出てきそう(笑)
    ジンガサハムシはよく見かけますが、まさか海の中にも陣笠仲間がいるとは存じませんでした。
    もう少し大きかったら頭にかぶれるのに…(笑)

    • ウルトラQに出てきそうというのはわかります。特撮怪獣っぽいですよね。実際、海洋生物はそういう怪奇映画に登場する架空生物のモデルになることは多いようです。
      もう少しメジャーになればジンガサウニ型の笠を製作する有志が現れるやもしれませんね。

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