ジャイアントショベルノーズシャークを捕る

三種の巨大生物を探しにオーストラリアに行ってきた。
ターゲットたちの名はヨロイモグラゴキブリ 、タスマニアオオザリガニ、そしてジャイアントショベルノーズシャーク。

まずはクイーンズランド州のある砂浜でジャイアントショベルノーズシャーク(以下ショベルノーズ)狙いからスタート。
えらく長い名前だが、要はでっかくなるサカタザメの一種。

となれば小魚をエサにしたぶっ込み釣りが有効なはず。
相手は夜行性なので勝負は日が落ちてから。ひとまず日本から持参したサビキ仕掛けで小さなニシン科の魚(現地では単に『サーディン』と呼ばれていた)を釣り、腹部に切れ目を入れてサークルフックに4匹まとめて房掛けにして砂地へ投入。しばし待つ。待つ待つ待つ。

▲海外では日本のように簡単に良いエサを購入することはできない。現地調達の腕が試される。

およそ2時間後、勢いよくリールから糸が引き出される。
竿を掴むがあまりに泳ぎが速い。メジロザメでも掛かったか。しかし時折ピタリと泳ぎを止め、海底にへばりつくエイのような挙動を見せる。サメとエイの中間といった行動。これすなわちサメとエイ両者の身体的特徴を兼ね備えているショベルノーズシャークに間違いなし。

さあ本命だ!と意気込むもここでトラブル。リールがぶっ壊れた。強く引き込まれた際に糸を送り出すドラグという機構が働かない。ハハハ。よりによってこのタイミングでか。

▲この魚影は間違いなくショベルノーズ!

だましだまし糸を巻き取り、魚が妙な動きを見せたらすぐにリールを逆転させてしのぐ。
ヒヤヒヤしながら格闘するうちに突然の暴風雨が到来。さながら死闘の様相を見せるが、実態はおっさんが一人でさみしく魚を釣ってるだけである。ここで自分に酔わない冷静さと客観性を持つのが30過ぎた大人の嗜みだと思うの。

▲水面に浮いた姿はさながら宇宙人

ヒーヒー言いながらずぶ濡れになることしばし、ようやく張りつく力も泳ぐ元気もなくしたショベルノーズシャークが足元に横たわった。
ロレンチーニ器官が詰まった半透明の吻端はトンガリサカタザメやシノノメサカタザメとは違う、あの見慣れたスタンダードなサカタザメのそれ。ただし、その体長は160センチ以上。日本のサカタザメではありえないサイズだ。素晴らしい。


▲素晴らしい造形。

実を言うと僕は2年前にこの同じ浜でこの魚の姿を見ていながら捕まえられずにいたのだ。なんとかリベンジに成功。いや、彼らに恨みはないのだけど。むしろ好きなんだけど。
おそらく味はサカタザメとさして変わるまい。そもそもこのサイズを一人で、しかも旅先で食いきるのは至難。
元気なうちにリリースする。去り際に尾鰭で左手をしたたかにはたかれた。ごめん。

しかしそれにしてもいい魚だった。と宿へ戻って一息ついた瞬間、大変なことに気づいた。一眼レフのレンズ内部に無数の水滴が。一応防水モノであったが、嵐の中での使用には耐えられなかったようだ。

▲一眼のレンズが…。やっちまったなあ。

まだターゲットはあと二種残っているのにこの有様。翌日からはどうなってしまうのか。

ヨロイモグラゴキブリ 編に続く

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