チカメエチオピアを釣って食べる(※魚の名前です)

昨日はアオスミヤキの話だったので、引き続き八重山で採れた深海魚について。
2017年夏のこと、沖縄本島でテレビ関係の仕事を終えてその足で八重山へ。
大げさでもなんでもなく「死ぬほど」暑い快晴のもと水深400m以深の海域を目指して出船。

▲日よけと通気性を考えるとクバ笠こそが沖縄での釣りに最適の帽子では?と考えて導入するも、ツバがもろに風を受けるので首が疲れる。船場での使用にはあまり適さないことがわかった。


▲暑すぎて麦茶が1ケース空く。それでも発汗したそばから蒸発していくので汗が頬を伝うことはない。クーラーボックス内の氷をくすねてタオルで氷嚢にし、首に巻いてしのぐ。

深海魚狙いの餌は鮮度が命という持論を証明すべく道中でグルクンとユメウメイロを釣って餌にする。
比較用に冷凍物のスルメイカやサンマも買って使ってみたが、交互に針にかけるとやはりグルクンばかりが食われる。思った以上に露骨だ。


反応は早く、すぐに竿先が引き込まれるアタリが出た。水深400mでこれだけダイレクトに反応が伝わるというのはかなりの力で引き込まれているということである。
「大物か!」と竿を持つと…確かに引きは強いが、なんというか重量感はない。小さいくせにやたら力持ちな魚がかかっているようだ。

15分後、水面を割ったのはチカメエチオピアだった。
シマガツオ(エチオピア)やヒレジロマンザイウオと誤認されがちな南方系のシマガツオ類だ。

▲シマガツオやヒレジロマンザイウオの中間といったビジュアル。よく泳ぐ魚の体型をしている。


▲三枚におろしてみると、その身は薄く桃色のかかった白身。シマガツオに比べると脂の乗りは控えめだ。


そしてシマガツオ類に見られるおもしろい特徴としてこの三角形の鶏胸肉っぽい身がある。
これ、実は脳天というかオデコの肉。
この手のデコッパチな魚はたいてい、そのオデコの中身は脂肪か骨格である。
しかしこいつらの場合はみっちり筋肉。一体どこを何のために動かすマッスルなのか。誰か教えて。
▲脳天を取り去ったチカメエチオピアヘッド。まだ食べる部分は多く残っているので兜煮やあら汁にする。目が輝いて見えるのは網膜の奥に『タペータム』という反射板があるため。暗い深海で生きる魚にありがちな特徴。


刺身で食べてみると、クセがなく美味い(鮮度が落ちるとマグロのように酸味が出てくるとも)が、シマガツオに比べると脂がやはり少なめで淡白。
現地では天ぷらの芯に加工されルことが多いというのでフリットにしてみたが、マグロやカジキよりは柔らかく、タラやシイラよりは硬い程よい弾力で美味。良いつまみになる。


▲チカメエチオピアのフィッシュ&チップス。


▲チカメエチオピアの兜煮。旨味ははっきりしていて、醤油ベースでもマース煮でも美味。


▲特に大きな眼が美味い!舌触りスルッスル!


▲卵巣もブリブリでいけるぞ!気味悪がって捨てないように。もしも人生の中でチカメエチオピアを釣る機会があったらの話だが。

まだ深海魚ネタはたくさんストックがあるのでちょいちょいお話ししていきます。

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